アシナガバチ

アシナガバチは天童にいた時、住んでいたアパートのベランダに小さな巣を作っていたことがあった。昔から、人がいたずらしたり、はたいたりしなければ襲われることはないと考えていた。しかし、ある時、他のことに気をとられていたのか、ベランダで作業していた時に、アシナガバチに刺されてしまった。かれこれ十五年前位の話である。

 ◎アシナガバチとその巣

 しかしハチなどに刺されて毒に対する抗体を持つと、二度目に刺されるとアナフェラキーショックを受けると言われている。抗体が反応し過ぎて、死に至る可能性があるのだ。それからは注意しているものの、蟹江に戻ってから、庭にはアシナガバチや時にはスズメバチもやってくる。暑い時にはホースで水遣りをやっていると、頻繁にアシナガバチなどが水を飲みにくる。そのやってくる回数はかなりのものである。それでも基本的に、驚かせないようにしながら、植物に水をやっている。

 二〇二六年七月半ばは、梅雨明けしたのか定かでないが、名古屋や桑名あたりは三十七度を超える酷暑になっている。部屋の窓を開けて、机の前で作業していても体から汗がしたたり落ちてくる。こんな酷暑の時には、永和の雑木林や南濃町の津屋周辺に写真撮りに行っても、昆虫などを見かけないのだ。余りの暑さで、変温動物である彼らは、体温が高くなり過ぎて活動できないらしい。

 いつもこの時期に自宅の庭で大量に羽化するベニイトトンボも、この暑さの中で連結産卵している様子が見られない。余りに熱いので、こうした産卵行動もできないのではないかと推測されるのである。

  ◎暑い時に水槽にきて吸水するアシナガバチ

 

こんな状態の中で、厚くなると頻繁にアシナガバチたちが吸水にやってくる。この住宅の周辺では、自宅の庭以外にこうした水槽を置いてある場所はない。そこで自宅の庭にやってくるのではないかと思われる。吸水し終わると飛び立っていく。その方向はいつも同じでないところを見ると、戻る先が数か所あるようなのである。多分、いくつかの巣があり、それぞれの巣から飛び立ってこの庭の水槽にやって来ているのだと思われる。

 なぜアシナガバチたちが、これほど暑い時期に吸水にくるのだろう。一匹のアシナガバチが暑さで喉が渇くので吸水に来るのだろうか。すぐ吸水すると飛び立つことから、個体の欲求ではないのではないかと考えられる。

 アシナガバチは集団で生活している。しかもその巣には、女王蜂や幼虫や卵が生活している筈である。この三十七度を超える気温が続けば、巣内はそれ以上の高温になっている可能性がある。その巣内の温度を下げるためにはどうしたらよいか。そのためには、昔私たちがやっていた庭や通りへの打ち水のように、気化熱で温度を避ける方法がある。

 暑くなると、いつもより頻繁にアシナガバチが庭の水槽に訪れるようになるのか、その吸水で巣の中に水を撒いて、気化熱で巣内の温度を下げているのではないかと思われる。このように、自宅の庭の水槽はベニイトトンボだけでなく、アシナガバチの生活をも支えている可能性があるのだと思ったのだった。

(スズメバチ科 アシナガバチ亜科)

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