人間と動物が共生する考えがない、地方テレビの放映を見かけた!
蟹江を通る東名阪道の蟹江インター内には、春になるとサギの仲間が営巣・産卵・育雛をしています。2月下旬のアオサギから始まり、3月にはゴイサギが、5月になるとコサギやチュウサギやアマサギが営巣するようになります。
インターの北側の土手にある一定の区域のアカメガシワやセンダンの木に、それぞれ営巣して産卵・育雛するのですが、昨年このアカメガシワとセンダンの木を業者が入って伐採してしまいました。何本か残った木や、刈り取った木々が土手に放置されている区域に、春になってやってきた沢山のコサギが集中するのです。結果的に1本の木に沢山の巣が密集して設けられるようになります。中には地上の枯れ枝の束に巣を作っているものもあります。雨が降れば、巣が水浸しになることさえ考えられます。
●密集して営巣するコサギ



木を残しながら伐採すれば良さそうなのですが、業者の人たちにはそうした考えはないらしく、殆どの木を伐採してしまうのです。その行動を見ると、サギたちがここで営巣するという考えは微塵もないようです。
サギたちもその行動を見ると、保守的な行動を維持する傾向があり、他の木々が生えている場所に移動して営巣すれば良さそうなのに、そうした行動を取らないのです。ただこのアカメガシワとセンダンは生長が早い木で、2~3年経つと大きな木になります。
●地面近くで巣作りをするコサギもいる



このインター出入り口に入る道路には、ときどき幼鳥が車に轢かれて死んでいるのを見かけます。インター付近の標識には、「鳥注意」の看板もつけられています。運転者にとっては迷惑な存在かも知れませんね。
この蟹江インター内で営巣するようになったのは、付近の神社や雑木林などで営巣していたサギたちが、糞や騒音被害を与えるとして、追いやられたことが原因だと言われています。最近まで弥冨インター付近にもあった、サギのコロニーを探しに行きましたが見当たりませんでした。消滅したと思われます。
日本野鳥の会と中日本高速道路が提携して、このインター内のサギの営巣地を守ることになったと聞いています。アオサギの営巣数が少ないので、2月になるとインター内の木の一部にアオサギのデコイ(模型)を立てて、アオサギを誘引しています。この付近に棲息するサギたちを増やす意図だと思われます。
先日この地方のテレビ局が、蟹江インター内のサギについての報道していました。それによると、糞や騒音公害による被害があり困っていると述べていました。日本野鳥の会と中日本高速道路との提携の話は全く出ませんでした。内容全体が人への被害についてだけ報道し、サギの存在を困ったものとして伝えていたのです。
●懸命に生きるコサギたち



こうした情報の提供の仕方は人間と対峙するサギであり、その人への被害という構図です。こうした思想はヨーロッパの思想と通じる思想かも知れません。人間が自然を思うようにコントロールできるようにするにはどうするという思想です。
ちょっと考えれば分かることですが、サギたちも人間と同様に地球に存在している動物です。生きていく権利はある筈で、地球は人間だけのものではないと思います。こうした動物とどう共生していくかという思想が必要ではないかと思うのです。この共生の考えは、日本人の昔からの思想に通じるものがあるように思います。
テレビが、サギたちは困った存在で人間に被害を与えているという思想を、人々に知らず知らずに植えつける役割を果たしているように思えてならないのです。
テレビに関わる人たちが、色々な事物事象に出会いながら、自分の持つ思想への疑問を感じながら、その考えを組み変え更新していくことが、テレビに携わる者の資質ではないかと思ってしまいました。どうなんでしょうかねー。