訪問者が多い動画にはある傾向が見られるような気がする!

 このHPの他に、YouTubeに「カモ撮りこうちゃん」「アニプラこうちゃん」という動植物の動画を掲載しています。素人動画なので、ブレたりピントが合っていないものも多いのですが、それでも色々な事実を載せておくことが、誰かの役に立つのではないかと思いながら掲載しています。

 ところで、その動画でどんなものがよく見られているのかを、訪問者数の多いものから挙げてみると、①世界最小の馬(ファラベラ種) ②イチジクの栽培 ➂車を威嚇するケリ ④ルコウソウ ⑤ブタクサ ⑥ニホンハッカ ⑦カルガモのヒナの大騒動 ⑧タヌキが車に撥ねられる ⑨メスと勘違いしたつくづくボウシのオス となっています。

 これらの訪問者が多い項目について、私が興味のある重要な動画だと思うものとの間にはズレがあるようなのです。例えば、私にとって重要な動画には「アオハダトンボ」「夏に見かけえたセイタカシギ」「野生のタツナミソウ」などがあります。

 好奇心が誘発される条件として、動物行動学からの知見として、超正常刺激と新奇性があるといわれています。セグロカモメは普通は自分の産んだ卵に乗って抱卵しますが、それよりは人工的に作られた大きい卵があると、自分の産んだ卵を放棄して大きい卵の上に乗りかかろうとします。その卵の大きさに魅了されて(?)、従来の行動を変えてしまうのです。このような普通より大きな卵のような刺激を超正常刺激といいます。

 サルの例では、子ザルがサルの死骸やドクロなどを見ても近づいて行って、遊んだりします。でも成体のサルは恐怖心などを示して、その対象から離れて避ける行動をします。なぜ子ザルは死骸やドクロなどを触ることができるのでしょう。

 このことを考えるのに、動物たちが生きていく過程で、事物事象について典型ともいえるイメージが形成されるのではないかと考えられます。新たな事物事象に出会った時、その典型との心理的な距離とか、ギャップによって、そのものがいつもと同じようなものか、変わっているかを判別しているのではないかと思われるのです。

 その心理的な距離の大きさによって、好奇心を惹かれるか、恐怖心を感じるかの違いが生じると思われます。セグロカモメのメスが自分の産んだ卵を放棄して、人工的な大きな卵に乗りかかろうとする行為は、典型的な卵の大きさより大きい卵(超正常刺激)に引きずられてしまうことを示しています。これは卵の典型的なイメージとの比較というよりは、卵の大きさが典型的な行動パターンを破壊してしまうことを意味しているのでしょう。その点で、セグロカモメの例は、生得的に規定されている可能性が大きいと考えられます。

 また子ザルが死骸やドクロを見ても驚かないのは、その典型のイメージが形成されていないからだと思われます。成体のサルでは、サルのイメージ、体つきや生きているサルの様子などが学習され形成されているので、その典型から大きくずれている事物事象を見ると、恐怖感を感じてしまうことになります。サルの場合には学習の過程を経て、イメージ形成がなされているのでしょう。

 もう一つの新奇性については、事物事象からのズレが恐怖心を起こすほどではなく、面白そうだと思えるほどの典型からのズレであるということです。先ほどのセグロカモメのように直線上の物差しではなく、イメージとのずれがあると思われるような場合で、上述の子ザルと成体ザルの行動の違いでは、例えばサルの縫いぐるみを見かけた場合には、きっと好奇心を誘発するのではないかと考えられます。

 このように考えると、セグロカモメの場合の超正常刺激と、新奇性の問題は結局は同じ問題ということになります。セグロカモメの卵の大きさが、さらに大きくなった時、カモメが恐怖感を持つかどうかは分かりません。でも多分持たないのではないかと推測しています。それは生得的に決められた行動と思われるからです。それに対して、新奇性に関わる学習されたイメージとのずれの場合には、好奇心と恐怖心が、ある程度を境にして起こるのではないかと考えられます。

 ところで、人の持つ典型のイメージはみな同じなのでしょうか。例えば、セグロカモメのように超正常刺激に属するような刺激では、イメージ形成するための経験による学習は殆ど必要がないと思われます。人間の場合、社会で生活していく中で沢山の経験をして何かを学んでいきます。その多くは、学校教育における意図的な教授-意図的学習というよりは、無意図的な教授・学習による社会教育によって行われる学習です。知らず識らずのうちに学んでいく学習です。本人が学んでいることさえ意識しないことが一番の特徴といえる学習でしょうか。

 こうした観点で前述した動画を見てみましょう。①世界最小の馬(ファラベラ種)は馬の典型から極端にはズレていることが好奇心を惹くことになると考えられます。また、④ルコウソウ ⑤ブタクサ ⑥ニホンハッカは、これまで実際に見たことがないということからの選択ではないかと思われます。これまで自分が見てきた植物とは違う珍しい植物という意味での新奇性ということになるでしょうか。

 同様に、➂車を威嚇するケリ ⑦カルガモのヒナの大騒動 ⑧タヌキが車に撥ねられる ⑨メスと勘違いしたツクヅクボウシのオス は、自分の知っている動物の行動の典型からズレている現象に対する新奇性ではないかと思われます。

 ただ②イチジクの栽培については、一見すると何でもないようなイチジク栽培の動画なのですが、海外からの訪問者が多いのです。この動画の内容は、イチジク栽培技術で木を二つに分けて、それぞれの枝を伸ばせていくイチジク栽培の様子を写したものですが、それに訪問者が多かったのです。恐らく海外でイチジク栽培している人たちが、その技術的な関心から、その動画を訪問したらしいと推測できるのです。一見すると単なるイチジクの栽培の様子でありながら、イチジク栽培している海外の農産者にとっては、彼らのイチジク生産のイメージから外れたイチジク栽培方法に写ったように思われるのです。自分のイチジク栽培技術の典型からのズレが好奇心を誘発したのだと考えられます。

 このように好奇心を誘うような原因には、余り経験などが必要なく好奇心を感じさせるものと、ある学習や経験をしたことによって好奇心を誘発させるものがあることが分かります。

 私にとって「アオハダトンボ」はこの地方では殆ど見かけることができないトンボで、とても希少なカワトンボの仲間です。また「夏に見かけたセイタカシギ」は、冬にしか見かけていなかったセイタカシギを夏に初めて見かけたものです。また「野生のタツナミソウ」は、名前だけ知っていたものの、10年間歩き回っていても殆ど見かけなかった末に初めて見かけたものです。これらは、私にとって希少性のゆえに価値あり、好奇心を感じさせたのです。

 これらのことから、どのような好奇心が生じるかは、その人の認識の状態によって異なること、そしてその認識はどのような経験や学習するかの違いによるものと考えられます。ただ多くの場合、社会の中の価値を無意識に学習(ある意味の経験)することによって、その好奇心の在り方が規定されていることを考えておくことが必要だと思われます。単なる好奇心を惹き出すというような方法の問題ではないと思われます。

  (写真は最小の馬 ファラベラ種)

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