ミヤマアカネを南濃町津屋で見かけた!

 アカトンボの仲間のミヤマアカネを知ったのは、10年前に天童に在住していた時に、村山高瀬川の「お出会い橋」の少し上の渓流近くの叢で出会ったのが初めです。その時の印象は、こんなに綺麗なアカトンボがいるのかというのが初めの印象だったのです。

 ●ミヤマアカネ(左から、成熟オス メス 未成熟オス)

 帯状紋が美しいのと、その端の縁紋が、これまで他のトンボでは見かかたことがない赤だったのです。その美しさにとても驚いてしまいました。そんな経験からアカトンボの仲間を知りたいと思うようになりました。でも今でも、全てのアカトンボの区別ができていませんが、それでも少しずつはできるようになってきています。

 

 7~8年前から南濃町津屋のハリヨがいる清水池周辺を歩き回っていますが、ここ数年の間にミヤマアカネを8月半ばを過ぎると、何回か見かけることがありました。多数見かけるというよりは、その年に1~2匹を叢で見かけるだけです。名前から言って、ミヤマアカネということから山地付近に棲息しているのだろうと思っていました。この津屋は養老山地の東麓にあたり、近くには養老の滝があるところです。やはり名前通りに山地近くにいるのだなぁと思ったのでした。

●アキアカネの成熟オス

 「日本のトンボ」(尾園暁 川島逸郎 二橋亮 文一総合出版)のミヤマアカネには「生息環境は平地~山地にかけての緩やかな流れや用水路、水田、大河の河川敷など。生活史は卵期間半年程度、幼虫期間2~5か月程度(1年1世代)。卵で越冬する。秋に羽化するときもあり、一部は年2化している可能性もある。形態は前後翅に広い褐色の帯を持つアカトンボ。同様な斑紋を持つ種は、コフキトンボメス(オビトンボ型)のみ。オスメスともに目立った体紋はなく、オスは成熟すると縁紋を含め全身が赤化する。メスは橙褐色だが、縁紋や腹部の赤味が強くなる個体もいる。備考では、全国に広く分布するが、地域によっては減少している。」と記されています。

 ●ミヤマアカネのメス

 

 またウィキペディアには「生態では、成虫は7月上旬頃から羽化し、11月頃まで見られる。和名は深山茜であるが、実際には高標高地に限らず丘陵地から低山地にかけて広く分布する種。他のアカネ属の仲間が止水性であるのに対し、本種は小川や用水路などの水深が浅く緩やかな流水域を好む傾向があり、のそばでは本種を見かけることは少ない。羽化後は羽化水域近くの、ススキアシ等の群生したやや背丈の高い草むらに移動し、体が成熟するまでそこで摂食活動を行う。未熟なうちは雌雄とも体色は黄褐色をしている。成熟した雄は翅脈、縁紋を含め全身が赤化し、雌は橙色が濃くなる程度で、縁紋はふつう赤化しないがする個体も見られる。産卵は打水産卵または打泥産卵で、緩やかで浅い流れの上を通常は雌雄が連結して行う。流速が早い場所、水深の深い場所は産卵には適していないようである。産卵の途中で『キ』の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。その後連結を解いて雌の単独で産卵に移行することもあり、その場合は短時間ではあるが雄が上空で警護飛翔をする。翅に着色のあるノシメトンボキトンボマユタテアカネ等の他のアカネ属と異種間連結・異種間交尾が観察されることがあり、産卵に至ることもある。本種の飛翔はあまり活発ではないが、成熟した雄の個体では警戒心が比較的強いとされる。秋に産み落とされた卵はそのまま越冬し、翌春孵化し幼虫となる。」と記されています。

 ●ミヤマアカネの未成熟オス

 これらの記述から、山地に特有なアカトンボでなく、緩やかな流水が流れ、余り深くない用水路近くに棲息しているらしいと分かる。私が見かけた叢では、湧水池から津屋川に流れ込む用水路と小川近くの叢で見かけました。

 また見かけた時期から見ると、まだ成熟期にいたっておらず、未成熟の時期に叢で成熟するのを待っている時期ではないかと思われます。オスの縁紋がまだ白いことや、メスの体色もムギワラ色濃くなっていなかったからです

 津屋川周辺の環境は、ミヤマアカネが生息するのに適した環境が一部あるようなので、そこで毎年産卵し羽化しているのではないかと思われます。

 全国的にアキアカネに較べると、断然数が少ない種だと思われます。一応全国的に分布しているようですが、そう簡単には出会わないアカトンボといっても良いのではないかと思います。皆さんにも、このミヤマアカネの美しさを是非見て貰いたいものだと思ってしまいました。

(トンボ科 アカネ属)

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