昨年見かけたホソミイトトンボをやっとまた見かけた!
昨年9月に海津市森下の神社跡の境内の雑木林の林縁で見かけていたホソミイトトンボを、やっと1年振りに見かけました。このイトトンボは、昨年まで見かけたことはないイトトンボで、名前の通り、細く小さいイトトンボです。
●ホソミイトトンボ1



蟹江周辺で見かけているイトトンボには、アジアイトトンボ、アオモンイトトンボ、ムスジイトトンボ、セスジイトトンボ、クロイトトンボ、ベニイトトンボなどがあります。どれも小さいトンボで、それぞれ体色の色合いが独特で、よく見るとそれぞれ美しいイトトンボたちなのです。それでも東北の天童周辺で見かけるイトトンボの種類に較べると、少ないのではないかと思われます。
この本のホソミイトトンボの棲息分布には、九州、西日本、四国、東海地方、伊豆半島や房総半島になっています。北日本や北海道には分布していないようです。この棲息分布からは、南方系のイトトンボのように見受けられます。また掲載されている写真のうち、「越冬型の集団産卵」とタイトルされた撮影地は、愛知県犬山市になっています。そのことから、愛知県内にも多数棲息している場所がある可能性があります。
●ホソミイトトンボ2



このホソミイトトンボは、「日本のトンボ」(尾園暁 川島逸郎 二橋亮 文一総合出版)には「生育環境は平地~丘陵地の湿田。透明度の高い水域を好む。生活史は卵期間1~3週間程度、幼虫期間は1~2か月程度(1年1~2世代)。成虫で越冬する。夏型は初夏に羽化して夏に産卵し、越冬型は秋に羽化後、成虫のまま越冬して翌年春に産卵する。形態は眼後紋と後頭状がつながって見える。越冬型は淡褐色の体色のまま冬を越し、春にはオス・メスともに斑紋が青色になる。夏型は小型で緑色みが強い。備考として本種は国内の種では唯一、夏と冬の顕著な季節型がみられる。夏型と冬型の間での交尾、産卵もみられるが、2型が生じるメカニズムは不明である。」と記されています。
このホソミイトトンボは、成虫で越冬し、冬型では体色が茶色ぽくなって、色合いが夏型と2型になって違っているようなのです。冬の季節には成虫のまま越冬すると書かれているので、冬の茶色の色合いのホソミイトトンボを何とか見かけて、写真に撮りたいと思い何度もこの境内の林縁周辺を歩いてみました。それでも一度もホソミイトトンボは見かけなかったのです。確かに、この境内でのホソミイトトンボの数そのものは多くないので、それで見かけないのか、秋から春に向けては活動が少ないので見かけないのか分かりません。
東北ではオアオイトトンボ科のオツネントンボがやはり越冬するのですが、成虫の色合いは一年中茶色のままなのです。そんなこともあって、いつかホソミイトトンボの冬型の茶色の色合いのものを見てみたいと思っているのです。
春から夏の最中でも見かけず、9月に入ってからまた見かけるようになりました。といっても昨年と同じように、数匹見かけるだけなのですが。
これまで初めて出会ったイトトンボを見ても、習性が分からないこともあって、なかなかイトトンボの種類を同定することができないことが多いのです。ところが、このホソミイトトンボは、頭の後ろにある白っぽい模様である眼後紋と後頭条が繋がって見えるという特徴があることで同定しやすいのです。他のイトトンボでも後頭条があるものもありますが、このように太くつながっているものは他にありません。これなら私のような素人でも同定できるのではないかと思われます。
このように偶然をきっかけに新しいトンボなどに出会うと、新しい世界を垣間見ることができるので、とても嬉しい気持ちになってしまいます。どんな生き方や習性があるのか、これからじっくり観察したいと思っています。
(イトトンボ科)