オオシオカラトンボが羽化した場所を刷り込まれている仮説について

 今年の5月30日にオオシオカラトンボのメスが、狭い庭の水槽で羽化しました。羽化して間もなくだったせいか、驚いて庭から飛んでどこかに行ってしまいました。例年だと、この庭に2~3日程留まっているのですが、私が突然現れたので驚いていなくなってしまったのです。

 もう戻って来ることはないだろうと思ってしまいました。その後、夕方に庭に出ると、家の高い空中にオオシオカラトンボらしいトンボが、庭付近にやってきましたが、私の姿を見て、また飛んで行ってしまいました。その後は戻ってきませんでした。

・庭に戻ってきたオオシオカラトンボのオス

 

 その数日後、庭にオオシオカラトンボのオスが、枯れたイノコズチの枝先にとまっているのを確認しました。今年になって初めて見かけたオスでした。それも翌日にはいなくなってしまいました。多分、私が知らない間に、この庭の水槽のどれかで羽化したのではないかと思われます。

 今日(2025年6月7日)になって、庭に出てみると、物干し台の先に、オオシオカラトンボのメスがとまっているではありませんか。刺激しないようにして写真を撮りました。すると庭のイノコヅチの枯れ枝の先に移動してとまりました。

  ・戻ってきて物干し台と枯れ枝にとまったオオシオカラトンボのメス

 

 以前から羽化したオオシオカラトンボが数日間、その場所で留まっていることは経験的に知っていました。こんな狭い庭に毎年オオシオカラトンボが飛んで来て、産卵することは考えられないのです。でもここ5~6年程、オオシオカラトンボが羽化し続けています。こうしたことをどう理解したら良いのか、ずーっと考えていました。

 まだ仮説でしかなく、きちんとした証拠立てはないのですが、「オオシオカラトンボは、ヤゴが羽化した場所を刷り込まれている」と考えてみています。その刷り込みの完成が、数日間ここに留まるのではないかと考えています。

 今日見かけたオオシオカラトンボのメスは、羽化して急に飛び立ってしまったオオシオカラトンボに違いありません。ただ刷り込みが完成したかどうかの確証はありません。

 羽化したオオシオカラトンボと思うかというと、自宅周辺ではオオシオカラトンボは殆ど見かけないのです。もともと自宅で産卵したオオシオカラトンボは、移動中に偶然自宅の水槽に産卵した可能性が高いのです。

 

 

 今日見かけたオオシオカラトンボのメスは、産卵場所で羽化して離れていったけれど、覚えていて庭に戻ってきたのではないかと予想しています。つまり羽化した時点で、場所を刷り込まれている可能性もあるのではないかとも考えています。

 カモたちが越冬地と繁殖地を行ったり来たりできるのは何故かと同様に、このオオシオカラトンボのメスとオスの行動は、単なる偶然に自宅の庭に立ち寄っているとは考えにくいのです。きっと昆虫にもこうした生得的な刷り込みがあるのではないかと思っています。

(トンボ科 シオカラトンボ属) 

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